Thunderbird による 迷惑メール対策

Thunderbird 2.0を使用し迷惑メールを振り分ける方法

Mozilla / Thunderbirdとは


(図1)Mozilla

(図2)Mozilla Thunderbird http://mozilla.jp/thunderbird/

Mozilla(図1)は、世界で最初に画像を含むWebページを表示可能にしたブラウザNCSA Mosaicをルーツとし、それに続くNetscapeのソースプログラムを元に作られた無料で使えるWebブラウザ兼メーラ(メールソフト)である。Mozillaのメーラ部分を発展させたMozilla Thunderbird(図2)には、ベイジアンフィルタという「学習型迷惑メールフィルタ」(図3)が備わっている。ここでは、このソフトを使用して迷惑メールかどうかを判断し、特定のフォルダに分離する方法を紹介する。 ちなみにMozilla のブラウザ部分は現在Firefoxとして皆さんにおなじみのものである。


(図3)Thunderbirdで最初に迷惑メールフィルタを起動したときに表示されるメッセージ。

使い慣れたメールソフトを変更するのは面倒なものだ。しかし、学習させた後のThunderbirdの迷惑メールフィルタの能力は秀逸で、同様の機能を持つと言われている Outlook,Windows Mail, Apple Mailなどよりも良い判断をしてくれる。また(アプリケーションではないので比較の対象として奇異に思われるかもしれないが)無料で使え迷惑メールフィルタの効果を強くうたっているGmailよりも良い判断をしてくれる。Mozillaシリーズの旧バージョンはもちろんのこと、Outlookなどのソフトを使っていれば、メールの設定やアドレス帳、今、使っているメールボックス(過去メール)を移行時に読み込んでくれるので、乗り換えも簡単である。すでにIMAP方式でメールを見ているのならメールボックスはサーバ側に置いてあり、移行のために行う作業はない。そのため2つ目のメールソフトとして併用することも可能である。

迷惑メールの現状

迷惑メール(別名SPAM)は、配信されることを望んでいない人々に届く宣伝メールで、悪意を持つ人にウイルスを仕込まれゾンビ化したパソコンが送るメールも含まれる。 迷惑メールは通常のメールに混じって大量に届くことで、仕事の効率が大幅に落ちるなど社会問題化している。(ゾンビPCスパム

迷惑メールの中には画像を含むWebページを表示させるHTML形式を使うことで、その開封状況を送信者に知らせる機能を持つものもあり、読んでいるとわかればさらに多くのメールが届くことになるため「HTML形式を表示しない」、「リモート画像を表示しない」など、対応には注意が必要である。また「メールの停止方法」が迷惑メールに書かれていることがあるが、これは迷惑メール送信業者による巧妙なワナであり、メールの停止方法に従って反応があれば、出したメールが意味も含め読まれているとわかられてしまうので、何の反応もしないことが重要である。(Webバグ Webビーコン 危険

迷惑メールを送りつける業者は、Webページに書かれたメールアドレス等を配送先として収集し売買を行っている。そのため自分のアドレスが知られないよう様々な工夫をしている人も多い。しかし「宮城教育大学情報処理センターのメールアドレスはこちら」など、悪意のない方々がご親切にもアドレスを紹介してくださる!ことがあり、隠しても無駄という現実もある(もちろん暗号化して表示するなど利便性を生かしつつ隠す方が良い)。

アドレス収集ロボットに探知されないmailtoの書き方: http://edb.miyakyo-u.ac.jp/ugawa/mailto.html

迷惑メール対策としてもっとも簡単で効果が高いのは、迷惑メールが来るようになった時点でメールアドレスを変更することだ。携帯電話ではメールの取得時に料金が発生するので迷惑メールの排除は必須のことであった。特に小泉首相(当時)の携帯への迷惑メールが問題になった後の各社の動きは早く、対応策や案内が的確になされた結果、現在の携帯ユーザは迷惑メールで困ることは少なくなったと聞いている。しかし、仕事で使っているメールアドレスは、携帯電話のようにコロコロと変えることはできないし、職場宛のメールなどではメールアドレスがユーザアカウント名と同一であることが多く、それがユーザ領域を含めたシステム全体の変更を伴うため、これらの環境でアドレスの変更を行うことは難しいのが現状である。

以上の理由から、いささか消極的な対応かも知れないが「受け取ったメールの特徴(特定のキーワードや、メールが誘導しているURL( Webページのアドレス)など)から迷惑メールかどうかを判断し分類する」メールフィルタを使う方法が現在のところもっとも有効な対策となっている。

情報処理センターでは、様々な迷惑メールに対応できる「学習型迷惑メールフィルタ」機能を持つSpamAssassinbsfilterいうユーティリティをメールサーバ上で動作させ、これを使う設定をWebからできるようにしているが、より効果的に使うには文字通り「学習」させることが肝要である。しかし、この学習機能はUNIXコンピュータと連動させることが必要で一般ユーザには敷居が高く、学習を含めて利用できている方はごく少数と言わざるを得ない。そこで今回はUNIXに頼らず、パソコンのソフトウエア単体のみで迷惑メールの学習と分離を行うことができる「Mozilla / Thunderbirdによる迷惑メール対策」を紹介する。

なお、ここでは Thunderbirdの基本設定は済んでいるものとして話を進める。これを機会に使ってみようという方は、情報処理センターの設定マニュアルなどを参考にして欲しい。Thunderbirdもほぼ同様の方法で基本設定ができる。

Mozilla のWindows用マニュアル:
http://www.ipc.miyakyo-u.ac.jp/online/2005guide/mail/g1(settei).html

Mozilla の Mac用マニュアル:
http://edb.miyakyo-u.ac.jp/ugawa/class/docs/MozillaOSX/

Thunderbird の Mac用マニュアル:
http://edb.miyakyo-u.ac.jp/ugawa/Center/ThunderbirdManual/ThunderbirdManual.html

迷惑メール学習の初期設定

Thunderbirdでは、複数のメールアカウント(メールアドレス)を送受信できるようになっており、それぞれについて、迷惑メール学習フィルターの有効・無効を設定できるようになっている。設定をするには、ツールメニューからアカウント設定を選ぶ(図4)。

(図4)アカウント設定

サイドバーの迷惑メールを選び、「このアカウントで迷惑メールの学習フィルターを有効にする」にチェックする(図5)。
このとき、「送信者が以下に含まれる場合はメッセージが迷惑メールであるとマークしない」のチェックを外すことをお薦めする。これは、迷惑メールの中には送信者を偽って送ってくるものが多く、アドレス帳に記載されているメールアドレスで送られてくることも少なくないからだ。

(図5)迷惑メールの学習フィルターを有効にする

 

 

迷惑メール、非迷惑メールを学習させる

学習させる方法は簡単で、メールの一覧で迷惑メールだった場合に、「迷惑メールマーク」(図6)をつけ、そうでない場合にアイコンを消すだけである。「迷惑メールマーク」の領域(図7)をクリックすると迷惑メールかどうかの判断の状態が変化する。一覧の状態でマークを付けることができるのはとても便利である。個別メールが表示されている状態では、ツールメニューに「迷惑メール」「非迷惑メール」のボタンを押すことでも学習させることができる。


(図6)迷惑メールマーク


(図7)迷惑メールマークの領域と「表示列選択」マークの場所

作業は、マークがついたり消えたりするだけであるが、変更がある度にパソコン内部の「判別基準データ」が書き変わっているので、必ず学習させることが重要である。特に初期の学習中は、判断ミスをきちんと見つけ、
1)迷惑メールには必ずマークをつける。
2)非迷惑メールにマークがあったら必ず外す。
3)迷惑メールと誤って判断された人のメールアドレスはアドレス帳に入れることもできる(送信者がアドレス帳に入っている場合、迷惑メールであるとマークしないオプション(図5)が利用できる)。
の作業を継続する。これらのことが後の判断ミスをなくすために是非必要である。

迷惑メールマークの領域が見えない場合には、図7の右上に見える表示列選択マーク(図8)を押して、(図9)表示列選択メニューを表示させ、迷惑メールの列を表示させる。 (筆者は受信順の列も表示させている。これは、迷惑メールがいつまでたっても新しい場所で見えるよう(=自らの露出度を上げるため)未来の日付で送られることがあり、これに対する自衛策として、受信した順でメールを並び替えてみている。パソコンの時計の設定が狂っているのを知らないで出したメールにも対応できる。)

(図8)表示列選択マーク

(図9)表示列選択メニュー

迷惑メールであると手動でマークしたときの動作や、迷惑メールと判断したメッセージを既読にするなどのオプションは、ツールメニューから「オプション」を選び「プライバシー>迷惑メール」(図10)で可能である。「Macの場合、Thunderbirdメニュー>環境設定>プライバシー>迷惑メール」である。
初期の学習段階では、この部分のチェックを外しておかないと、正しく学習しているかどうか(すなわち、迷惑メールにはマークがつき、正常なメールにマークがついていないことを)判断できない。

(図10)迷惑メールフィルタ

 

 

迷惑メールフォルダに自動で移動させる

ツールメニューには「迷惑メールとマークされたメールを削除」の項目があるので、マークされた迷惑メールの削除は簡単である。

学習効果は、何件の迷惑メール、正常なメールを学習させたか、の件数に比例するが、珍しい人からのメールなどが届いたときにどうなるかなど、より多いパターンを学習させるには1ヶ月程度様子を見た方が良いと思う。

そして、迷惑メールだけに自然と印がつくようになり、いよいよ間違いが少なくなったと確信がもてるようになったら、次の段階として、学習結果に基づいてふるい分けるようにする。迷惑メールと判断されたメールは、受信トレイから迷惑メールフォルダに自動的に移動させられる。

「迷惑メールと判断された受信メッセージを次のフォルダに移動する」にチェックを入れ、迷惑メールを”迷惑メールフォルダ”に自動で移動させる設定を行う(図11)。

図10で「迷惑メールであると手動でマークしたときに次の処理を実行する」にチェックを入れておくと、学習が不十分で受信トレイに残っている迷惑メールに手動でマークしたとき、学習させると同時に”迷惑メールフォルダ”に移動してくれる。

「このフォルダの迷惑メールのうち〜日以上古いものは自動的に削除する」にチェックを入れるのは、以下で述べる”迷惑メールフォルダ”の定期的確認を確実に行っているときのみにし、当面はチェックしないでおく。


(図11)迷惑メールフォルダに自動で移動させる設定

迷惑メールフォルダを定期的に確認する

迷惑メールフォルダに移動するにチェックを入れると、Junk(迷惑メール)という名前のフォルダが作成され、迷惑メールと判断されたメールが自動的にこのフォルダに移動される。 この段階に進んだら、時々迷惑メールフォルダの中を調べて、迷惑メールでないものが含まれていないかどうか確認する必要がある(図12)。


(図12)迷惑メールフォルダの定期的確認

迷惑メールフォルダに1日に何千通と入るようになると、さすがに見るのが難しくなると思うが、重要なメールがここに落ちていないか心配なら、頑張ってこの中を見るしかない。

定期的な確認の習慣がつき、迷惑メールフィルタの機能に満足な状態になったら図9の「このフォルダの迷惑メールのうち〜日以上古いものは自動的に削除する」にチェックを入れておくと削除が楽になるかも知れない。筆者は、万が一のことがあると嫌なので自動削除は行っていない。

残念ながら、 Thunderbird を使ってきたなかで、筆者の場合、迷惑メール10万通の中に5通の正常なメールが間違って分類された。これらは中国の留学生からのメールだったり、迷惑メールの相談だったり、飾りけの多いメールリストだったりする。確かにこれらは私が迷惑メールとして学習させたパターンと酷似しており、間違ってもしかたがないなぁ、と納得した。もちろん、迷惑メールマークを解除して再学習させた。

個別のメールについては、それぞれ、迷惑メールマークつけたり消したりすることで再学習できるが、もしも最初からやり直したい場合には、図10の画面に「判別基準データのリセット」というボタンが用意されている。

Gmailでダブルチェック

筆者は、別の迷惑メール判断アルゴリズムを持つGmail(Googleが提供する無料のWebMail)にもメールを転送し、今使っているフィルタが間違った判断をして正常なメールを落としていないかチェックを行っている。Gmailの判断により迷惑メールがかなり少なくなっており、チェックが楽である。

Google Gmail: http://mail.google.com/
Gmailの設定:http://edb.miyakyo-u.ac.jp/ugawa/Center/gmailsetup.html

Googleのことだから、いずれは改善されると思われるが、筆者の場合、Gmailでも、正常なメールを誤って迷惑メールとされる例があった。Gmailをお使いの場合は、「検索オプションを表示」を押し、差出人に自分の属する組織のドメイン名(メールアドレスの@より右側)を入力(筆者の場合はmiyakyo-u.ac.jp)、検索を「すべてのメール」ではなく「迷惑メール」とし検索すると、同僚が送ったメールが誤判断されて落ちていないかチェックできる。Gmailの迷惑メールの保存期間は1ヶ月なので、期間内にチェックする必要がある。Gmailはブラウザで見るWebMail以外にも、通常パソコンで使用するWindows MailやOutloolk、もちろんThunderbirdでもメールを取得できるメールサーバとしての機能を持っているので、ThunderbirdでGmailに転送されているメールをチェックすることも可能だ。この目的のためには、普通に推奨されてるPOPではなくIMAPとしてアクセスする必要がある。POPではGmailの迷惑メール部分は転送されてこない。それゆえ、迷惑メール部分に正常なメールが含まれているかを見ることはできない。

GmailをIMAPでアクセスするための設定方法は、http://www.google.co.jp/search?q=gmail+imap&hl=ja&lr=lang_jaで見て欲しい。

  1. IMAPサーバは、imap.gmail.com で Port 993の SSLを使用する。
  2. SMTPサーバは、smtp.gmail.com で Port 587の TLSを使用する。
  3. 特殊なのは、アカウント名の部分にda..re..so..re..uso..uso@gmail.comと@より右側も含めて書く必要があること。

で、この方法でGmailに溜まるメールを見ていると、一般に評判が良いとされるGmailの迷惑メールフィルターよりも、1)迷惑メールを迷惑メールとして見抜く点においても、また、2)正常なメールを迷惑メールと誤判断しない点においても、Thunderbirdの方がいかに正しく判断しているかが良く分かる。Gmailで正常なメールの誤判断が防げているのは、Thunderbirdの迷惑メールフィルターでダブルチェックをしているから、と言っても過言ではない。

おわりに

さて、多分、大多数の読者は、ここで説明した設定で、かなり満足のいく状況になるだろうと思われる。
Mozilla / Thunderbirdの迷惑メールフィルタについて、さらに詳しい情報は以下を参考にして欲しい。

http://www.google.co.jp/search?&q=Thunderbird+迷惑メール+フィルタ

迷惑メールは増える傾向にある。現状の対策では不十分であることを筆者自身が痛感している。情報処理センターでは、Mozilla / Thunderbird 以外を使用した場合でも、学習フィルタが使えるようにすることや、メールアドレスを変更できる仕組みも開発してきている(情報処理センターの機能を用いて迷惑メール対策を行う方法)。

最近、Mozilla / Thunderbird を含め、成績の良し悪しにかかわらず迷惑メールフィルタを使っている人は多い。ということは、自分の送ったメールが相手のところで迷惑メールと判断されている可能性もあるということだ。誰に限らず「メールをもらったら必ず返事を書く」というあたりまえのエチケットを自ら守ることで、返事がない場合は何らかのエラーが起こったとわかる。皆さんがこれが守れていれば、不達と同じ状況である「迷惑メールフォルダに落ちてしまう事故」にも対応できるはずだ。基本を守って、ネットワーク社会の荒波に呑まれないようにしたいものだ。


宮城教育大学 情報処理センター鵜川義弘 (Last modifiled )