「環境教育に役立つデータベース作り」

鵜川義弘

生物関連のデータベースは、当初、データベース化が容易な、文献情報、タンパク質配列情報等のテキストを主体とするデータから始まり、近年、画像を含むマルチメディアを駆使したデータベースへと裾野を広げてきている。

私は職場の関係から様々な生物関連のデータベースの開発に接する機会があり、生物、特に、ゲノム関係のデータベースのデータベースの作成にたずさわってきた。おりしもインターネットがデータベース普及のための非常によい手段を与えてくれ、いくつものデータベースを公開することができた。現在は、そのノウハウを活かして環境教育関連のデータベースを作成したいと活動しているところである。

これまで、主に開発に関与してきたデータベースは以下のものである。

関与年、データベース名、基本データ数(当時)

1985 微生物系統保存施設カタログデータベース http://www.jcm.riken.go.jp/ 6000件
1985 植物培養細胞文献データベース 5000件
1988 放線菌画像データベース 1300種7000枚
1988 日本産樹木検索用データベース http://taxa.soken.ac.jp/jumoku/JumokuMat.HTML 508種
1990 DDBJ/EMBL/GenBank DNAデータベースhttp://www.ddbj.nig.ac.jp/Welcome-j.html 10万
1994 ライフサイエンス用語データーベース http://lsd.pharm.kyoto-u.ac.jp/index-J.html 40000語
1995 原生生物情報サーバ http://protist.i.hosei.ac.jp/Protist_menu.html 1600種23000枚他
1995 日本産アリ類カラー画像データベース http://ant.edb.miyakyo-u.ac.jp/ 258種1100枚
1997 粘菌ゲノムcDNAプロジェクト http://www.csm.biol.tsukuba.ac.jp/cDNAproject.html 6万
1998 イネゲノム(cDNA解析、データ公開) http://www.dna.affrc.go.jp/ 3万
1998 スギゲノムcDNAプロジェクト http://ss.ffpri.affrc.go.jp/labs/cjgenome/database/cjdata.html 25000件
1998 植物遺伝子シスエレメントデータベース http://www.dna.affrc.go.jp/htdocs/PLACE/ 300件
1998 Bio-Mirrorプロジェクト http://www.bio-mirror.net/ 10**7+10**6件
1999 BioMetasearch -生物資源系メタ検索用データ http://bio-crawler.dna.affrc.go.jp/ 20000件
2000 仙台市カエルマップ http://map.edb.miyakyo-u.ac.jp/kaeru/ 900地域
2001 オーストラリア産アリ類データーベース http://160.28.20.99/AZ/Australia/index.html 80属1600枚
2001 マウス画像データベース http://160.28.20.99/MouseDB/MousePCDindex.htm 900枚
2001 水中微小生物図鑑 http://mikamilab.miyakyo-u.ac.jp/Microbio-World/top.htm 50属200枚動画50枚
2001 全国学校桜前線 http://map.edb.miyakyo-u.ac.jp/sakura/
2001 インターネット環境家計簿 http://160.28.20.99/kakeibo/sample-k/index.htm

この中から、今回は、環境教育に役立つデータベースとして、作成途中のものも含め、以下について紹介する。

1)専門向けと、一般・小学校向けの複数の入り口を持つ「日本産アリ類カラー画像データベース」(図1、2、3)
2)地図とリンクさせることができる「仙台市カエルマップ」(図4、5)「全国学校桜前線」(図6、7、8)
3)地球温暖化対策への努力の平均値を記録できる「インターネット環境家計簿」(図9、10)

さて、データベースは、予算確保や実作業だけでなく、作成し提供することに関する意義や貢献について常に意識していなければ作成は難しい。

まず「データを残すことの意義」がある。個々のデータをよく知る専門家にとって、データベースを作成する意味はほとんどない。というのは、必要な情報はすべて作成者の頭の中に存在するからだ。しかし、博物館に残る標本等と違って、専門家のもつ情報や知識はデータベース化しなければ、専門家の死とともに存在しなくなる。データベース作成し公開することで、専門家が長い間蓄積してきた貴重な情報を残すことができる。

次に「一般への貢献」がある。データを独占する者をその道の権威と呼んでいた時代もあったかもしれないが、データベースとしてまとめ公開することにより、他の研究者から評価され、一般利用者からも声が聞こえてくるようになる。それが、研究者自身への刺激になり、こもりがちな研究と社会のニーズを合わせるフィードバックにもなり、後進を育てる役割も果たす。元々、専門家のデータをデータベース化したものにも関わらず、一般や、教育目的での利用が非常に多いことで、このことが証明されている。インターネット以前には、研究者が研究成果を論文にしたものをジャーナリズムがかみ砕き、それを一般の人々が使うという流れがあった。インターネット以降は、この緩やかな流れ以外に、研究者の研究成果を直接一般の人々が見るルートが加わったことが主たる原因と思われる。

研究者自らが自分たちの成果をデータベースとして残し、一般の人々がわかるように説明する責任を負う時代になったのだと思う。

より多くのデータが共有され残されていくことを望む。


図1アリデータベース、ムネアカオオアリの1件


図2アリデータベース、イメージ検索

図3アリデータベース、子供向けページ



図4仙台市カエルマップ、トップページ



図5仙台市カエルマップ、調査結果


図6全国学校桜前線、全国図


図7全国学校桜前線、県単位図



図8全国学校桜前線、詳細図







図9インターネット環境家計簿、データ入力画面


図9インターネット環境家計簿、グラフ表示画面