インターネットアーカイブの必要性

教育・研究情報はネットワークにあり

多くの教育・研究情報がネットワークに存在するようになり、今後もその流れは止まらない。新しいデータは最初から電子化。古いものも電子化。紙の媒体を保存する倉庫としての図書館は無くなる可能性がある。

  1. 電子ジャーナル化の流れ
    1. 論文を雑誌に投稿する場合にはページ数という量的制限があり,膨大な実験データを抱える研究には,電子化による論文の量的拡大のニーズが潜在的に存在している.多くの場合、大量の証拠は論文にはならない。分子生物学分野の論文に必要なデータは、投稿前に、データをデータベースへの登録する仕組みが作られている。
    2. 例:http://www.sciencemag.org/
  2. 古い文献も簡単に電子化できる。過去の文献の電子化の動き
    1. 個人の研究者でも著作権切れの研究情報を格安でデジタル化できている
    2. 例:http://ameba.i.hosei.ac.jp/DIB/Jenn04/

ネットワーク上の教育・研究情報の問題点

情報の共有という点についても,特定の学術誌に乗せるより,ずっと多くの人の目に触れるチャンスがあるに違いあるまい.しかし、残念ながら現在のところ、従来の紙の研究論文ほどは、権威がない。なぜか?

  1. 他情報との混合
    玉石混交というか、遊びのページと論文のページが渾然一体となっているインターネットの現状がまずある。
  2. 消滅
    また、Webの情報があまりにも頻繁に更新され、公表されている位置が移動し、あたかも消えたように見える場合。また、実際に消滅することがある。この場合、論文の参考文献(Reference)にしたとしても、それが消えてしまえば論文の根拠がなくなる。
  3. 発表時期の詐称
    1. また、日進月歩ならぬ時進日歩のごとく競争の激しい研究分野では,研究成果をより迅速に発表することが求められる.
    2. クローン牛の開発など、先陣争いの渦中の研究者たちには、Webで発表したとき、あたかも先に成果を上げたかのごとく書かれたり、間違いがあったのを後でこそこそ直されたりしては問題であろう。もちろん、誤りを正そうとするのは、本来あるべき姿なのだが。
  4. 改竄
    消滅、移動はともかく、Webでは、サーバに置いたデータを著者がいつでも直せるので、間違いを見つけたら即、直すことが可能である。一方、紙の研究論文は必ず受理日が書かれ、Webのように簡単にはアクセスできないかわり、相当の部数が印刷され、多数の図書館に所蔵されるので、後で改変することは不可能である。もちろん、訂正することは、本来の姿である。
  5. 内容自体の信頼性はどのように確保するか?
    紙の媒体論文では、ピアレビュー(同僚評価)などによって,投稿論文の選別をおこなってきた。インターネットのなかでも,研究者の個別の発信情報を何らかの形でオーソライズする方法の確立は必要であろう.
    1. ピアレビュー体制の確立、
    2. 置く場所の工夫、公的機関、学会のサーバに置くのも一つの手
    3. オーソライズ用のアイコンを用意する
      例:動物ゲノムのサーバがもらっているアイコン
      http://ws4.niai.affrc.go.jp/euc/jgbase.html

教育・研究情報のバックアップは充分か

研究論文が必要とする根拠は、紙の論文だけとは限らない。研究に隣接する諸分野の情報もインターネットに数多く存在している。企業のWebページのマニュアルさえ、研究に必須のものになる可能性がある。企業の倒産もあろうし、個別学会のWebページといえど、いつまで存続しているかわかったものではない。研究の根拠となる様々なWebページをビデオ録画をするようにバックアップをとることが必要

  1. 国会図書館のインターネット情報と納本制度に関する報道
    1. http://www.watch.impress.co.jp/internet/www/article/971201/kokkai.htm
    2. http://web.archive.org/web/20011124073329/http://www.yomiuri.co.jp/yomidas/konojune/99/99h3b17.htm
    3. http://web.archive.org/web/20010906015513/http://www.sankei.co.jp/databox/paper/9902/22/html/0222side050-1.html
  2. 電子図書館、デジタルミュージアムとの違い
    電子図書館、デジタルミュージアムがなくなる可能性だってある。信頼性を確保すること。
    1. http://www.um.u-tokyo.ac.jp/digital/
    2. http://www.jdaa.gr.jp/
    3. http://www.digital-museum.gr.jp/
    4. http://web.archive.org/web/20001203114900/http://www.ndl.go.jp/ndl_frm_1.html

インターネットアーカイブは実現可能か

インターネットアーカイブの実現性は、どの程度あるのか。

  1. インターネットアーカイブ
    http://www.archive.org/
    カールの論文(和訳)
    http://www.sfc.wide.ad.jp/~keiko/sciam/kahle.html
    カールは衛星放送をmpegで圧縮してアーカイブすることを考えていて、それは、放送局と視聴者の争い。言った、言わないの証拠として使える。
  2. 収集されるデータはリンクではなく、コピーが残ること。
    1. 著作権の問題に注意。
    2. 元々アーカイブとして収集されることを望まない者。
    3. 間違った情報がいつまでも残ること。
  3. 技術面は、簡単。
    1. すでにある検索エンジンのデータを使えばよい。
      http://www.google.com/ とそのキャッシュ。キャッシュこそがアーカイブ
    2. データ量は、大容量のディスクが安価に手に入る

その他

  1. http://www.ne.jp/asahi/coffee/house/ARG/036.html 

この文書について

  1. この文書はインターネットアーカイブの必要性について、 2000年12月1日に、農学情報資源検討作業部会において、インターネットアーカイブの必要性について発表する機会があったので、その時に用意したメモを元にまとめたものである。
  2. リンク切れ部分をhttp://www.archive.org/のWayBackEngineに置き換え(2004年6月12日

--鵜川義弘 mailto: